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STUDY 03 / EXPLORATORY METABOLOMICS

血中メタボロームの変化

施術後10分・30分の血中代謝物を探索した、小規模クロスオーバー研究。条件内の変化と条件間差を分けて読み解きます。

学会発表資料|2025年
解析対象
腰痛成人9名
測定
580成分
採血
前・10分・30分

研究の枠組み

腰痛を有する成人9名を解析対象とした、無作為化・単盲検クロスオーバー試験です。緩消法と対照施術を2週間隔で実施し、HMT Dual Scanで血中580成分を測定しました。登録番号はUMIN000049180です。

クロスオーバー試験の流れ

緩消法
2週間
対照施術
対照施術
2週間
緩消法

割り付けられた順序で、同じ参加者が両方の条件を受けます。

施術前採血
10分後採血
30分後採血
図は研究デザインと採血時点の要約です。出典:2025年・第34回日本病態生理学会大会 発表資料 ↗

何が報告されているか

発表資料は、緩消法条件内で施術前から変動した21成分を取り上げています。一覧の「初回有意」は、施術前と10分後・30分後の条件内比較による時点です。対照施術との条件間比較も併せて見ることで、介入に関わる応答をさらに詳しく検討できます。

資料中の例条件内の変化記載された条件間P値
Retinol-210分・30分後に増加10分:0.4597/30分:0.0987
Acylcarnitine (13:1)-310分・30分後に増加10分:0.8321/30分:0.3935

上の2成分の条件間比較はいずれもP≥0.05でした。表には施術前からの変動と対照条件との差を分けて示しています。

報告された21成分を一覧で見る

学会発表の結果

2025年の学会発表資料では、増加9成分・減少12成分が一覧化されています。「初回有意」は、緩消法条件内で施術前との差が最初にP<0.05となった時点という、資料の定義です。対照施術との比較結果は、条件間解析として併せて確認します。

資料上の成分名変化の方向初回有意
3β-Hydroxy-5-cholestenoic acid-3増加30分
5β-Tetrahydrocortisol-1減少30分
Acylcarnitine (13:1)-3増加10分
Acylcarnitine (17:0)-2増加30分
Auraptene-1増加30分
Biliverdin減少30分
cis-Aconitic acid減少10分
Dehydroisoandrosterone 3-sulfate-2増加30分
Deoxycholic acid減少30分
Gluconic acid減少10分
Glycochenodeoxycholic acid減少10分
Homoarginine増加30分
N1-Acetylspermidine減少30分
N2-Phenylacetylglutamine減少30分
Pyrocatechol sulfate減少10分
Retinol-2増加10分
Ricinoleic acid-3増加30分
Ser増加30分
Taurolithocholic acid 3-sulfate減少10分
Trilaurin-4減少30分
β-Estradiol-117/α-Estradiol減少30分

名称と末尾番号は発表資料の表記を保持しています。成分の同定確度や異性体の区別を確認したうえで、標準物質を用いた定量などの再検証へ進むことが考えられます。

出典:第34回日本病態生理学会大会:発表資料4ページ ↗

科学データから、どの可能性を考えるか

研究構想

注目する方向今回の手がかり検証したい問い
エネルギー代謝・疲労Acylcarnitine (13:1)-3、(17:0)-2の増加、cis-Aconitic acidの減少。血中濃度と、脂肪酸などの基質利用、代謝の流量、疲労の変化を同時に測ると、どのような関係が見えるか。
炎症・酸化還元に関係する応答Retinol-2やAuraptene-1の増加、Biliverdinの減少。炎症マーカー、酸化還元指標、臨床症状も同じ時間軸で変化するか。
内分泌・ストレス・疼痛5β-Tetrahydrocortisol-1やβ-Estradiol-117/α-Estradiolの減少、Dehydroisoandrosterone 3-sulfate-2の増加。産生・代謝・排泄のどの過程と関連するか。疼痛やストレスの変化との関係はあるか。
胆汁酸・腸内環境との関係Deoxycholic acid、Glycochenodeoxycholic acidなどの減少。食事、採血時刻、腸内由来の影響を揃えた場合にも再現するか。
ポリアミン・アミノ酸関連の応答N1-Acetylspermidine、N2-Phenylacetylglutamineの減少、Serの増加。関連する代謝物を同時測定し、局所の組織応答や症状との関係を説明できるか。

脂質利用、免疫機能、炎症指標や疾患ごとの症状を直接評価する研究によって、臨床への可能性を具体的に検討できます。

この短時間の血中変化を、局所の測定や症状の経過と同じ時間軸で検証することが、次の臨床研究につながります。

出典:第34回日本病態生理学会大会:発表資料

ここでは、変動した成分から想定する生理機能と、その機能を直接評価する測定項目を対応づけています。

経路解析の結果を読む

学会発表の結果

発表資料の経路名掲載P値解釈
Steroid hormone biosynthesis0.0104候補となるステロイド関連経路。
Retinol metabolism0.0923掲載P値は0.05以上。Impact値は0.263。関連指標と併せて探索する経路。
Glyoxylate metabolism0.012資料上の経路名。ヒトでの具体的な代謝過程との対応を精査する。

経路の富化とImpactは、変動成分を経路に位置づけ、次の検証候補を選ぶ解析指標です。表では資料掲載のP値を示しています。未補正/FDR補正と各比較の対応を整理し、代謝経路の活動を直接捉える測定へ進むことが、研究を深める方向です。

出典:発表資料8ページ:MetaboAnalystによる経路解析 ↗

代謝物の変動と生理機能を結びつける

研究構想

9名・580成分の探索で選ばれた候補を、標準物質を用いた定量と、独立した対象集団で評価する構想です。食事・活動量・採血時刻をそろえ、対照条件との差、効果量と信頼区間、順序・持ち越しを評価します。

脂質利用、炎症、疼痛の指標を同じ時間軸で記録し、血中濃度の変動がどの生理機能に対応するかを検討します。

代謝・血中指標の共同研究を相談する

安全性と研究情報

うえのあさがおクリニック倫理審査委員会の承認と文書同意を得て実施し、日本健康機構が研究費を支援しました。安全性の記録方法と集計結果は、論文での報告に合わせて本ページに掲載します。

原資料

  1. 坂戸孝志・中島 温.微弱圧筋弛緩手技「緩消法」が誘導する血中メタボロームの迅速変動.第34回日本病態生理学会大会(2025年・発表資料PDF)

本ページは、2025年の学会発表資料に基づく研究概要です。関連原稿の掲載情報は、論文・学会発表のページで更新します。

「研究構想」は今後の検証に向けた仮説・検討課題を示し、推論に基づいています。研究結果は、対象・方法・原資料とともに示しています。

最終更新日:2026年9月21日

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