自律神経と緩消法
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自律神経と緩消法

2012年に発表した「腰部への筋緩消法施術による痛みの軽減効果検証(1)」の生化学試験で、施術後に血中セロトニンの値が有意に上昇しました。これは、施術によって心身が鎮静化、すなわちリラックスする方向へと推移したことを示唆します。

また、心拍変動のうちLF/HFも有意ではないものの低下したことと考え合わせると、施術により神経伝達物質と自律神経系とが連動して変化したことが推定され、施術による血中カルシウムやセロトニンの上昇は、施術の有効性を示唆します。

さらに、2012年に発表した「The effect of Kanshoho on the low back pain (lumbago) (2)」の試験で、心拍変動に関しては、副交感神経系の賦活を示すHFが有意に低下した。しかしながら、LF、VLFおよびTPも有意ではないものの低下しており、LF/HFも低下した。先行試験(1)においても、HFが有意に低下し、LFおよびLF/HFが有意ではないものの低下した。すなわち、心拍変動に関して本試験で得られた知見は、頑健な結果であると考えられます。

各項目のVAS結果を見ても、疲労回復度やストレス減少、体の軽さや動かしやすさ、リラックス感、腰の痛みの軽減のすべての項目で有意差があったことでも、施術によって心身が鎮静化したと考えられます。

2022年に実施した『筋緩消法施術による血中代謝物質の網羅的解析の検討(3)【UMIN試験ID】UMIN000049180』では、Acylcarnitine(13:1)-3、Acylcarnitine(17:0)-2が有意に増加した。

試験施術群で施術前より有意に増加しているAcylcarnitineは、抗癌剤であるパクリタキセルに誘発された痛みを軽減することが報告されており(4)、そのメカニズムは不明であるが、疼痛緩和との関係性が注目されています。

また、頭痛、筋肉痛、関節痛などの疼痛を訴えることが特徴的な症状の慢性疲労症候群の患者では、血液中のAcylcarnitineが減少していること(5)が知られています。
さらに、11CラベルしたAcylcarnitineを用いたPET解析によると、慢性疲労症候群の患者では、自律神経系の調節や情動に深く関連している前帯状皮質24野と、意欲やコミュニケーションに深く関連している前頭皮質9野で、Acylcarnitineの取り込みが低下している(6)ことが知られています。
これらのこととあわせて、疼痛のみならず、中枢での本施術の効果も期待ができる結果となっています。
(※その他の有意に変化した項目の詳細は「代謝物と緩消法」にて記載)

以上のことから、「副交感神経系の賦活を示すHFが有意に低下した」ことや、「Acylcarnitine(13:1)-3、Acylcarnitine(17:0)-2が有意に増加している」などの不定愁訴の軽減により、施術によってリラックス効果があると考えられています。

是非、医療現場に緩消法を取り入れていただき、痛みや病気に苦しむ、一人でも多くの患者さんを一緒に救っていきましょう。

 

 

(1)  山下慎一郎, 坂口廣純, 坂戸孝志, 山本和雄, 鈴木直子, 椎塚詰仁, 髙良毅,「腰部への筋緩消法施術による痛みの軽減効果検証, 第15回日本統合医療学会, 抄録集 p118, 2012
(2)  Hirozumi sakaguchi, Takashi Sakato, Kazuo Yamamoto, Naoko Suzuki, Koji Shiizuka, Tsuyoshi Takara The effect of Kanshoho on the low back pain (lumbago) Japanese Journal of Integrative Medicine, 2012, 5(1),62-67.
(3) https://rctportal.niph.go.jp/s/detail/um?trial_id=UMIN000049180
(4) Flatters SJ, Xiao WH, Bennett GJ. Acetyl-L-carnitine prevents and reduces paclitaxel-induced painful peripheral neuropathy. Neurosci Lett. 2006 Apr 24;397(3):219-23.
(5) Kuratsune H, Yamaguti K, Takahashi M, Misaki H, Tagawa S, Kitani T. Acylcarnitine deficiency in chronic fatigue syndrome. Clin Infect Dis. 1994 Jan;18 Suppl 1:S62-7.
(6) Kuratsune H, Yamaguti K, Lindh G, Evengård B, Hagberg G, Matsumura K, Iwase M, Onoe H, Takahashi M, Machii T, Kanakura Y, Kitani T, Långström B, Watanabe Y. Brain regions involved in fatigue sensation: reduced acetylcarnitine uptake into the brain. Neuroimage. 2002 Nov;17(3):1256-65.

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