代謝物と緩消法
解説動画

代謝物と緩消法

2022年10月13日に一般公開した試験『筋緩消法施術による血中代謝物質の網羅的解析の検討(【UMIN試験ID】UMIN000049180』の結果です。

本試験では、20歳以上65歳未満の健康な男女を対象に、各観察期において、試験施術(緩消法)10分、または対照施術(非緩消法)10分を実施し、施術前、施術10分後、施術30分後の血中代謝物質の網羅的解析について、無作為化単盲検クロスオーバー比較試験にて血中メタボローム・デュアルスキャン解析を実施しました。

すでに過去の論文や研究結果でもその効果が明らかになっている緩消法によって、生体成分の何が有意に変動するのかを明らかにする目的で本試験は実施しました。

緩消法施術時の運動強度は約2METs。
採血は、施術10分前、施術10分後、施術30分後に行いました。1回目の採血から30分後に2回目の採血、60分後に3回目の採血となります。
試験施術は500gでの押圧と1cm²の押す面積、対照施術は200gでの押圧と2cm²の押圧面積の違いとし、押圧と押す面積の変化以外の試験内容に変更はありません。試験期間は試験施術と対照施術の間隔が2週間あること、緩消法を知らない被験者であることから、どちらが試験施術か被験者には判断はできないと考えられます。

※200gの押圧と2cm²の押圧面積では、筋に到達せず、皮下組織で指尖が止まる

本試験の結果、メタボローム解析において有意差のついた項目に関して考察を行いました。
有意差に関しては、
1)群間(試験施術群と対照施術群)の有意差がついたもの(群間で施術前の値に大きな開きがあったもの、対照施術群の施術前からの変動により有意差がついたものは除外)、
2)群間の有意差は認められなかったものの、試験施術群でのみ施術群前より有意な差が確認出来たもの(10分値のみ有意差があり30分値で有意差が消失したものは除外)で抽出しました。

その結果を列挙すると以下になります。
◎3β-Hydroxy-5-cholestenoic acid-3(2)
◎5β-Tetrahydrocortisol-1(2)
◎Acylcarnitine(13:1)-3(2)
◎Acylcarnitine(17:0)-2(2)
◎Auraptene-1(2)
◎Biliverdin(2)
◎cis-Aconitic acid(2:実測値、1:変化量)
◎Dehydroisoandrosterone 3-sulfate-2(2)
◎Deoxycholic acid(2)
◎Gluconic acid(1:変化量のみ)
◎Glycochenodeoxycholic acid(2)
◎Homoarginine(2)
◎N1-Acetylspermidine(1:実測値、変化量ともに)
◎N2-Phenylacetylglutamine(2)
◎Pyrocatechol sulfate(2)
◎Retinol-2(2)
◎Ricinoleic acid-3(2)
◎Ser(2)
◎Taurolithocholic acid 3-sulfate(2)
◎Trilaurin-4(2:実測値、1:変化量)
◎β-Estradiol-117 α-Estradiol(2)

有意な変化した項目ごとの一般的な見解として、

◎3β-Hydroxy-5-cholestenoic acid-3(増加)
コレステロールの代謝が亢進している可能性、コレステロールを利用した細胞膜の形成やホルモンの合成が促進している可能性を示唆します。動脈硬化、心筋梗塞・脳卒中のリスクと症状の改善が期待されます。

◎5β-Tetrahydrocortisol-1(減少)
ステロイドホルモンであるコルチゾールの代謝物であり、コルチゾールの過剰な分泌は、血圧の上昇や脂肪の沈着に影響を与えるため、コルチゾールの低下は、血圧の安定や脂肪の沈着を防ぐ可能性、ストレスや緊張感の軽減、炎症反応の抑制、免疫機能の改善などの効果を示唆します。2型糖尿病、肥満、心血管疾患、脂肪肝のリスクと症状の改善が期待されます。

◎Acylcarnitine(13:1)-3、Acylcarnitine(17:0)-2(増加)
体内の糖質および脂質代謝の亢進の可能性を示唆します。心血管疾患、脳卒中、腎臓病、肥満(2型糖尿病、心血管疾患、関節痛など)、脂肪肝のリスクと症状の改善が期待されます。

◎Auraptene-1(増加)
Auraptene-1の増加は、抗酸化、抗炎症、抗がん、神経保護作用などの効果が報告されている。抗酸化作用、抗炎症作用、抗がん作用、神経保護作用(神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病など))のリスクと症状の改善が期待される。

◎Biliverdin(減少)
抗酸化作用が維持されていることを示唆します。細胞のダメージを軽減、炎症を緩和、免疫機能の強化が期待されます。

◎cis-Aconitic acid(減少)
cis-アコニット酸は、クエン酸回路の中間代謝物質で、クエン酸回路の活性化を示唆します。疲労の軽減、筋肉のパフォーマンスの向上、動脈硬化の予防、癌の予防可能性が期待されます

◎Dehydroisoandrosterone 3-sulfate-2(増加)
副腎皮質ホルモンの一種であり、男性ホルモンや女性ホルモンの前駆体である。性ホルモンの産生増加、ストレスへの適応力が向上、抗酸化作用、免疫応答の強化、抗炎症作用が期待されます。

◎Deoxycholic acid(減少)
二次胆汁酸の一種であり、脂肪の消化と吸収に関与しています。肥満や動脈硬化などの疾患のリスクの低下が期待される。

◎Gluconic acid(減少)
グルコースが酸化される際に生成される有機酸である。糖質代謝の改善(インスリン感受性が向上する可能性)が期待される。

◎Glycochenodeoxycholic acid(減少)
二次胆汁酸の一種である。脂質代謝の改善、肝機能の改善が期待されます。

◎Homoarginine(増加)
血管の拡張や平滑筋の弛緩など、多くの生理的過程において重要な役割をしています。血圧の低下、腎機能の改善が期待されます。

◎N1-Acetylspermidine(減少)
細胞増殖、分化、およびアポトーシス(細胞死)に関与しています。細胞増殖や分化の調節(がん細胞の増殖抑制など)が期待されます。

◎N2-Phenylacetylglutamine(減少)
腸内細菌が生成する代謝産物です。肝臓や腎臓の負荷が軽減、脳機能の改善(アンモニアの代謝が改善)、炎症性疾患の改善が期待されます。

◎Pyrocatechol sulfate(減少)
カテコール類の代謝産物であり、抗酸化作用や炎症反応に関与しています。肝臓機能の改善、肝臓疾患の進行を抑制が期待されます。

◎Ricinoleic acid-3(減少)
リシン油(またはヒマシ油)から得られる脂肪酸で、抗炎症作用や解熱作用が報告されています。炎症の緩和、腸管運動の調整が期待されます。

◎Ser(増加)
アミノ酸の一種で、タンパク質の構成要素、神経伝達物質や細胞内シグナル伝達に関与しています。神経機能の改善、免疫機能の強化、肝臓の機能改善が期待されます。

◎Taurolithocholic acid 3-sulfate(減少)
炎症性サイトカインの産生を誘導し、炎症反応を引き起こします。炎症の緩和が期待されます。

◎Trilaurin-4(減少)
ラウリン酸とグリセリンからなる中鎖脂肪酸トリグリセリドです。体脂肪の減少が期待されます。

◎β-Estradiol-117 α-Estradiol(減少)
エストロゲン濃度が高い場合、痛覚閾値が低くなります(痛みが感じやすくなる)。痛みの伝達の抑制が期待されます。

過去の論文や研究結果でもその効果が明らかになっていますが、今回の血中メタボローム・デュアルスキャン解析でも、痛みの軽減や脂質分解に関与する数値が有意に変化しました。

緩消法は筋弛緩する際、侵襲性が無く筋損傷が伴わないまま、筋を限りなく無緊張状態にできることが特徴で、わずか10分で大きく体内に変化が起きます。

これらの結果からみても、緩消法は疾病の改善、健康の維持向上に大きく貢献できると考えられます。

是非、医療現場に緩消法を取り入れていただき、痛みや病気に苦しむ、一人でも多くの患者さんを一緒に救っていきましょう。

技術習得

『完全版-緩消法無料動画』お申込みフォーム

◎完全版(約1時間)の内容

・なぜ簡単に痛みが消えるのか
・緩消法の治療方法と治療効果
・完治もしくは改善、効果のある症状や疾患
・症例報告
・緩消法の未来
・緩消法習得の基本、練習方法 など

上記内容が全て無料

上部へスクロール