ファシア(Fascia)と緩消法
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ファシア(Fascia)と緩消法
2018年に、国際疾病分類が30年振りの改定を行い、第11回の改訂版(ICD-11)において、Fasciaが体組成の基本要素として取り入れられ、ファシア(Fascia)が国際的に注目されています。
アメリカのBruno Bordoniら(1)によると、ファシア(Fascia)とは、
機械的刺激に応答できる機能を含む組織である。それは、さまざまな組織、液体、固体の間で、表皮、真皮、脂肪、血液、リンパ、血管とリンパ管、神経フィラメントを覆う組織(神経内膜、神経周膜、神経上膜)、随意横紋筋線維およびそれを覆い浸透する組織(筋外膜、筋周膜、筋内膜)、靱帯、腱、腱膜、軟骨、骨、髄膜、不随意横紋筋組織および不随意平滑筋(すべて中胚葉由来の内臓)、内臓靱帯、外皮(小および大)、腹膜、および舌。この連続体は、体全体の形状や機能に影響を与える可能性のある機械代謝情報を常に送受信している組織
としています。
ファシア(Fascia)が、間質で「機械代謝情報を常に送受信している組織」であるため、コラーゲンが主成分の筋膜やコロイド(膠質)、レチクリンやフィブロネクチンなどのゲル状の組織も含まれます。
緩消法開発以前、筋の硬さには「間質(ファシア(Fascia))」が関係していることがわかり、2007年に「間質(ファシア(Fascia))」のゲル化をゾル化させる治療法“緩消法”が開発されました。
我が国日本では、2018年に一般社団法人 日本整形内科学研究会が発足しました。
ファシア (Fascia)について、医学用語、および一般用語としての定義を以下に定めています。
(医学用語)「A fascia(ファシア)」= ネットワーク機能を有する目視可能な線維構成体(2019年4月JNOS)。
*ここでいうネットワーク機能とは、各組織や器官を繋ぎ・支え、知覚するシステムのことです。
*英語では、macroscopic anatomical structures forming of fibrils with the function of fascial network system と表現しています。
*この定義は、英語における A facsia(肉眼解剖用語)に相当するものです。
*fascia system(システム系)および fibrils(ミクロ解剖)を含む表現としの「fascia(ファシア)」は「ネットワーク機能を有する線維性の立体網目組織」としています。(一般用語)ファシア = 全身にある臓器を覆い、接続し、情報伝達を担う線維性の立体網目状組織。臓器の動きを滑らかにし、これを支え、保護して位置を保つシステム(2020年3月JNOS)
*メディア、患者への情報提供としては、こちらの定義を使用されることを推奨いたします。
詳細は以下にリンクのある詳細解説ページをご参照ください。
関連用語:参考までに、筋膜 Myofasciaは以下と定めています。
(一般用語)個々の筋線維、筋肉または筋肉群を包み、互いを分割および連結する線維性組織。筋や関節の動きを滑らかにしつつも、これらを制御して位置を保つ(2020年3月JNOS)。
*つまり、筋膜はファシアの一部になります。
アメリカのBruno Bordoniら(1)の定義からすると、一般社団法人 日本整形内科学研究会の定義は「筋膜を含む線維性組織」と狭義となっていますが、本文では世界基準に合わせ、筋硬結や筋緊張に関係が深い膠質(コロイド)も含め「間質(ファシア(Fascia))」とします。
近年、ハイドロリリース(*1)や筋膜リリース(*2)と呼ばれる施術法が増えています。
一般社団法人 日本整形内科学研究会で行っているハイドロリリース、そして筋膜リリースは、ファシアの一部である筋外膜にアプローチし動きの改善を目的としており、影響は筋周膜にも及ぶとされています。
(source:プロメテウス解剖学アトラス解剖学総論/運動器系 第2版,56,2013 改変)
ハイドロリリースは、2023年8月時点でPubMedにて【Hydrorelease】と検索して7件ヒットし、すべてが日本からの投稿であり、日本発祥の新しい治療の概念であるとわかります。
ハイドロリリースは、エコー下で行うため再現性が高いことは理解できる一方、ハイドロリリースは、間質の一部である筋外膜や神経周辺に生理食塩水・低濃度の麻酔剤・ヒアルロン酸等の液体を注射する行為で侵襲性があるため、生体内の恒常性を乱す事象・リスクは否定できません。
また、ハイドロリリースや筋膜リリースでは、「間質(ファシア(Fascia))」のわずかな部分である筋外膜へのアプローチ、筋周膜までの影響となっているため、一時的な筋弛緩となってしまいます。
これでは、筋を確実に弛緩させ、弛緩の持続も難しく、筋外膜と筋周膜の一部だけ滑走が良くなっても、筋の広範囲、全体的に筋外膜、筋周膜や筋内膜の滑走が改善しないと、筋は正常な働きをせず、筋の硬さが残ることになりますし、短時間で筋の硬さは戻ってしまいます。
これでは、患者の症状がその場で改善するが再発した「寛解再発」を繰り返すことになり、いつまでも患者は治りません。
解剖学的観点から、筋が直径3cmで6区画の筋束で構成されている場合、筋外膜の面積は、筋周膜と筋内膜を足した面積と比べて約1/30,000、筋外膜と筋周膜を足した面積は、筋内膜の面積と比べて約1/870となります。ハイドロリリースや筋膜リリースが、「間質(ファシア(Fascia))」のごくごく一部へのアプローチであることが理解できるとともに、緩消法は少なくても870倍以上、「間質(ファシア(Fascia))」への効果が大きいとも言えます。
あえて引用元は記載しませんが、WEB検索で【ハイドロリリース 効果期間】と入力すれば、ハイドロリリースを取り入れている臨床医の実際がわかります。中には、痛み軽減の即効性について「麻酔薬の効果が切れるまで約1時間は注射部位の痛みが取れます。」と、持続性につては「一晩、数日、1週間と個人差があり、注射の間隔についても決まったものはなく、連日もしくは週に2-3回でも可能です。痛みや凝った感じが強いときに注射することを勧めています。」と素直に公開しているサイトも見受けられます。
しかし、「間質(ファシア(Fascia))」は、ハイドロリリースや筋膜リリースがアプローチする筋外膜だけではありません。
「間質(ファシア(Fascia))」の中には、筋全体を包む筋外膜、筋束を包む筋周膜、筋線維を包む筋内膜があります。
緩消法®は、「間質(ファシア(Fascia)(筋外膜、筋周膜、筋内膜含む))」にアプローチをし、「間質(ファシア(Fascia))」のゲル化をゾル化させることにより、筋を限りなく無緊張状態にすることを実現させています。
緩消法は、「間質(ファシア(Fascia))のゲル化をゾル化させることができるため、筋に限らず皮下組織(皮下脂肪部)が硬化している場合でも、限りなく無緊張状態にできることも特徴です。
しかし、「間質(ファシア(Fascia))」は、筋外膜だけではありません。
「間質(ファシア(Fascia))」の中には、筋全体を包む筋外膜、筋束を包む筋周膜、筋線維を包む筋内膜があります。
緩消法®は、「間質(ファシア(Fascia)(筋外膜、筋周膜、筋内膜含む))」にアプローチをし、「間質(ファシア(Fascia))」のゲル化をゾル化させることにより、筋を限りなく無緊張状態にすることを実現させています。
緩消法は、「間質(ファシア(Fascia))のゲル化をゾル化させることができるため、筋に限らず皮下組織(皮下脂肪部)が硬化している場合でも、限りなく無緊張状態にできることも特徴です。
さらに、緩消法は、施術10分でも静脈血に遊離脂肪酸が増大する、代謝物からも脂質分解が亢進していることがわかっています。
緩消法は、痛みや不調の改善ができる治療法であること、健康維持向上を見込めることを基礎研究から科学的となっています。
是非、医療現場に緩消法を取り入れていただき、痛みや病気に苦しむ、一人でも多くの患者さんを一緒に救っていきましょう。
(*1) ハイドロリリースとは、間質の一部である筋外膜や神経周辺に生理食塩水・低濃度の麻酔剤・ヒアルロン酸等の液体を注射する行為
(*2) 筋膜リリースとは、間質の一部である筋外膜に滑りを改善させる行為
(1) Bordoni B, Mahabadi N, Varacallo M. Anatomy, Fascia. 2023 Jul 17. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2023 Jan–.
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